【納涼★月下の夏祭り】月夜の祭り（ストーリー 1/6）

月夜の祭り

夏の夜、あの日の言葉が
満月のように心に浮かぶ。

『夏、満月の海には――』、
幼い私に告げた、養父の言葉。

その続きは何であったか。
どんな口調で語られたか。

私の持つ、夏の記憶は――

少年

あっ、ごめんなさい！
兄ちゃん、早く来いってば！

マナ

！

青年

……弟が失礼しました。
お怪我は？

マナ

いえ、問題ありません。
よそ見していた私の落ち度も
あります。

青年

そうか、今日は満月ですね。
実に珍しい。

マナ

珍しい？満月がですか？

青年

この日に満月が出るのは
何年ぶりでしょうか。

満月の夏祭りでは
再会が果たせると
言われているんです。

少年

兄ちゃん、何してんだよ！
早くしろってば！

青年

……では、どうぞよい
夏の夜を。

マナ

満月の下の再会……
のどかな伝承ですね。

マナ

（特定の日に満月になる
頻度は計算で求められるもの。
そこに意味を見出すのは……）

（何かにすがってみたいという
人の心の弱さでしょうか。）

（再会、か。私には――）

ノア

ゆらゆら～。マナさん、
こんばんはなのです♪

マナ

あなたとは、つくづく妙な所で
会いますね。

たこ焼き屋の敵情視察ですか？

ノア

ここのたこ焼きはおいしそう
なのです。他にも気になる
屋台がたくさんあるのです。

マナさん、ご一緒に
いかがですか？

マナ

複数の屋台を巡るには、
単独行動より効率的ですね。
ご一緒します。

ノア

嬉しいのです。
ゆらっと夏祭りなのです♪