目指せ一番、ナンバーワン！（ストーリー）

ハルカ

おとなしく薬になりなさぁーい！

ハルカ

はあっ、はあっ、はあっ―

周囲の毒花を一掃したハルカは、
荒い吐息を繰り返している。

アイリス

毒を吐く花は、これでなんとか
倒しきったみたい……ですね。

キャトラ

いったいなんで、いきなり
こんなことになっちゃったのよ～。

アイリス

あの花たちからは
禍々しい闇の気配を感じたわ……

アイリス

魔物たちのせいで、
この土地に闇の力が
及んでしまったのかも……

キャトラ

そういえば、ハルカが助けた子も
魔物の瘴気にあてられた、とか
言ってたっけ……

ハルカ

……許せないわ。

アイリス

ハルカさん―

ハルカ

闇の侵食のせいで
草花が毒を持ってしまったら、
たくさんの人が不幸になる……

ハルカ

それに……薬草が使えなくなったら
白魔術士の権威が失墜して、
私も不幸になるじゃないのー！

キャトラ

あ、うん。そりゃそーね。

ハルカ

おっのれ闇めぇ～！
私を一番にさせないって、
そういう魂胆なわけね？！
むきぃーっ！！

キャトラ

そんなピンポイントな魂胆が
あるかーい。

ハルカ

ちょっとHeroッ！

Hero

！

ハルカ

私たちの力を合わせて、
闇の侵略を防ぐのよ！
私が一番になる、そのために！

Hero

♪

ハルカ

目指せ一番、ナンバーワン！
えいえいおーっ！！

―Fin―

ハルカ

うう～……誰にも会いませんように……

ハルカ

はぁ～……

ハルカが、重いため息を
吐いている。

キャトラ

ちょっと、しゃっきりしなってば。
あのとき採り損ねた薬草、
今度こそ採らなきゃなんでしょ？

ハルカ

ううう……もしあの村から来た人に
バッタリ会ったりなんかしたら、
恥ずかしくってもう……

キャトラ

恥ずかしい、って……あ、そっか。
おんぶされたの、
村中の人に見られたもんね。

ハルカ

ギャー！！
思い出させないでーッ！！
うぅぅうう……

キャトラ

はいはい、落ち込まないの。
ほら、一番になるんでしょ？

ハルカ

そ、そうね！　今度こそ
一番になって、あのド変態女に
ぎゃふんと言わせてやるわ！

ハルカ

……あ、クマツヅラ！

ハルカが、ふと見つけた花に
いそいそと手を伸ばし―

ペッ、と毒を吐かれた。

ハルカ

―ぎゃふんっ。

アイリス

ハ、ハルカさん！

キャトラ

ちょっ、この花なにー！？
毒吐いてきたわよ！　毒

ハルカ

う……

ハルカ

う―がぁ――っ！！

ハルカ

上ッ等じゃないっ、この花ぁー！
清めて煎じて薬にしてやるぅー！

アイリス

ハルカさん、毒状態で
無茶しちゃだめー！

Hero

（汗）

ハルカ

白魔術の極意、見せてあげる！

ハルカが
ベッドに伏せった少女の妹に
薬を飲ませてやる。

ハルカ

……よし、よく飲んだわね。
あとは、ゆっくり休んでいれば、
明日の朝にはよくなるわ。

少女

ああ……ありがとうございます！
妹を助けてくれて……
本当にありがとう！

ハルカ

い、いいのよ、お礼なんて。

ハルカ

それより、よくなるとは思うけど、
しばらくは無理させちゃ
ダメだからね。―じゃ！

早口に言って、ハルカは
少女の家を辞していく。

キャトラ

あのコ、助かってよかったわね～。
さっすが未来の白魔術士！

ハルカ

や、やめてよ、そういうの。
ただの応急処置で、そんなたいした
もんじゃないんだから……

アイリス

それでも、ハルカさんのおかげで
あの子が助かったのは確かですよ。
優しいんですね。ハルカさん。

ハルカ

/////

称賛の言葉を浴びたハルカは、
真っ赤になってそっぽを向く。

ハルカ

世のため人のため役に立つのが、
白魔術士の本分だもの……

ハルカ

それに、これも修行！
一位を取るための、
勉強の一環なのよ！

ハルカ

ま、その意味じゃ、今回の私は
百点満点のパーフェクトね！
冷静な判断と適切な対応ができ―

ハルカ

……はりゃ？

Hero

！

ハルカの全身から力が抜けていく。

アイリス

ハルカさん？！
どうしたんですか？！

ハルカ

ぬ、ぬかったぁ～……
花に力をあげすぎちゃった……

キャトラ

あー、そういえば、魔力と生命力を
あげたとか言ってたわね。

ハルカ

ぐ、ぐぬぬ……
た、立てない……

キャトラ

しょーがないわねぇ～。
Hero、
おんぶね、おんぶ。

Hero

！

ハルカ

―は？　え？　ちょっ！
た、たんまたんまたんまっ！
だいじょうぶだってば！

アイリス

無理させちゃダメ、なんでしょう？
ちゃんと休まなくっちゃ。

ハルカ

そぉじゃなくってぇ！
い、いい歳しておんぶなんて、
人に見られたらなんていうか……！

キャトラ

知ぃ～らないっと。
Hero、ゴー！

ハルカ

待ってやだやだちょっとやだぁー！

ハルカ

さあ、張りきっていくわよ！

ハルカ

えーと、ナツシロギク、
ナツシロギクは、っと……

???

きゃあっ！

ハルカ

あいたっ？！

ごちーんっ、という音が響き、
ハルカと見知らぬ少女が
尻もちをついた

どうやら、お互い頭を
ぶつけてしまったらしい。

ハルカ

あいったたたた……

少女

す－すいません、ごめんなさい！
薬草採りに夢中になっていて……！

ハルカ

ううん、
こっちも不注意だったから……
……あれ？

ハルカは、少女が大事そうに抱える
薬草を、しげしげとながめる。

ハルカ

それ……ヒメツルニチニチソウ？
何に使うつもり？

少女

妹が、魔物の瘴気にあてられて
しまって……伏せってるんです。
それで、これが効くって聞いて―

キャトラ

……そうなの？ハルカ？

ハルカ

ヒメツルニチニチソウには、
確かに、＜魔瘴＞の影響を追い払う力が
あるけど……

ハルカ

その力は、摘んだらすぐに
失われてしまうの。

少女

そんな……！じゃあ――
村まで運べないんですか……？

キャトラ

ハルカの白魔術を使って、
ここで薬草を薬に加工したら！？

ハルカ

それをするには、
極度の集中が必要なの。
正直、この場所じゃ無理ね……

キャトラ

そんなぁ……

ハルカ

……

少女

！

ハルカは、おもむろに少女に
近寄ると、呪文を唱え始めた。

ハルカ

＜七の天光　四の霊耀　一の破暁＞
＜我が身のほむらを炬火となし＞
＜もって汝に燈し置かん＞！

ハルカの身体から放たれた光が、
花へと流れ込んでいく……

アイリス

今の……白魔術ですか？

ハルカ

―そ。私の魔力と生命力を、
花の力の維持にあてたの……

ハルカ

それでも、あまり長くもたないわ。
早く、この子の村に行って、
薬に加工しないと―

アイリス

ハルカさん……

アイリス

……わかりました。
行きましょう、
Hero！

Hero

！